2005年の10月中旬の雨の朝。
わしはいつものように会社の倉庫へ出勤した。
倉庫のシャッターを開けた途端、わしの足下に一羽のドバトが居る…。
夕べから倉庫に潜り込んで一夜を明かしていたらしい。
怪我をしているのか、病気なのか…一向に羽ばたく気配を見せない。
このまま放って置いては、野良猫やカラスにやられそうだと思い、キノコを接種する時に使っている建物の入り口に脚立を立てて、その上に箱を置いて鳩を置いて仕事に出かけた。
戻ってみたら箱に鳩が居ない。
裏のホダ場に回ってみたら、何と!まさしく鳩に猫が覆い被さっている所だった!
追いかけると、猫は鳩をくわえたまま走って逃げる。
しかし運良く、猫が狭い篠の藪を通り抜ける時に、鳩だけが引っかかってその場に残されたのだった。
保護しなければ何かに殺される…。
仕方がない…。
鳥籠で飼う事となってしまった……。
名前を付けた。
「ポッポ」。
朝晩が冷え込む季節になり、お古のジャンパーを鳥籠にかけて保温した。
翼の神経か何かをやられているらしい。
右の翼は全く動かせない。
夜は屋内で寝かせて、
昼間は猫などの手が届かない高い場所に籠を吊していく。
時には散歩をさせる。
拾った当初はまともに歩けなかったが、一ヶ月もするとコケずに歩けるようになった。
(コケると立ち上がるのに時間は掛かったが…)
この頃だった。見ると、ポッポの羽の付け根や首の羽毛の隙間から、ウヨウヨなにか細かい生物が大量に出てきたのだ!! 調べてみると、どうやら、羽虫という寄生虫らしいのだ。
仕事の合間に業務先の近くにあるペットショップに飛び込んで聞いてみた。すると、やはり羽虫と判明。
勧められてスプレー式の駆除剤を購入し、戻って、籠からポッポを出してみる。ウヨウヨと虫が這い出してくる!……思い出しても体中が痒くなる。
そしてポッポの目や鼻、口に駆除剤が入らないように頭を手で軽く握り、体全体、羽の裏側と尻尾とスプレーをかけまくる。
数分後、見る見る羽虫が飛び出して来てはボロボロ下に敷いてある新聞紙に落ちて来た。
この時に始めて気が付いたが、背中に大きな傷跡があった。
既に傷口は治癒していたが、禿げている事からここを痛めていたのが飛べない原因だったのかもしれないと思った。脊椎のどこかを痛めているので歩くのもままならなかったのか。
兎に角食欲は旺盛!
ウサギ用のつぐらで休むポッポ。
ツヤツヤと太って、脚の血色も赤々と良い。
しかし、元気になったポッポは、わしに噛み付くようになった…
マジで痛い!!
こんな凶悪な顔をして食らい付いて来る!
本当に痛い~!
散歩中、キジバトと三者会談。
すっかりスタスタと歩けるようになった。
ポッポ改め、ポー様とお呼び!…と言うようなこの大きな態度…マケソー……
因みにこいつは雄です。
そして今日もポー様に噛まれながら世話する…
やった餌は下に撒き散らす…。
そこへ雀やキジバトが群がる…
これって不毛な愛か!??(笑)