ナメコ短木栽培の巻

ナメコは子供の頃から味噌汁の具として、一番好きな具です。
ところが「栽培」となるとそう簡単には行かないのです… 。

山地のように季節感溢れる環境で栽培されると、何の問題もなく発生するらしいですが、わしが棲むこの関東の首都圏のような、場所だと無理が生じるんでしょうか。この辺りのような、季節感が少なく乾燥し易い所で無理矢理栽培すると、このナメコと言うヤツは発生させるのが一番難しいキノコになるんです……。

しかも接種する樹木や、その年の陽気や湿度にもかなり左右され、発生や収穫にはムラが有ります。

下手しますと、栽培がかなり難しいと言われている「マイタケ」や「ヤマブシタケ」よりも、わしにとって難しいかもしれません…… 。
でもその難しさにまた、燃えて(萌えて?)しまうんです!!







自然の中のナメコは、沢の近くの苔むしたブナの倒木に初秋に発生しているようです。
 
しかし我々一般人には、ブナ原木など入手困難です…。
けれどもナメコは、いろんな樹木を腐朽する順応性が高い菌類なんです。
 
身近な樹木としては「コナラ」「シデ」「エノキ」等が使えたりします。
「サクラ」「トチ」もおいしいナメコを発生させるために使える貴重な原木ですが、なかなか入手が困難です。

ナメコも案外「暴食」な菌なので、心材が少ない「シデ」が菌糸の成長を妨げることなく扱い易い樹木だと思います。
「サクラ」の場合は樹皮に強度があるので、ホダ化さえ出来れば他の樹木よりも少々長く使用出来る原木だと思います。









ヒラタケと同様、様々な栽培方法が可能ですが、わしは上手に栽培出来れば接種当年に発生が期待できる「短木断面接種栽培」を行っています。

しかもナメコはシイタケと違って樹木の切断面からの発生が多く、使用原木の径が太いほど収量が上がりますし、原木内への菌糸の蔓延が早くてキノコの発生も早いので、短木法を好んで行っています。

因みに「普通原木栽培(90p程の長さの原木に接種する方法)」では発生まで2シーズンの伏せ込みが必要とされ、運が悪いと栽培地域の環境によっては、その間に原木が害虫の被害に遭ったりするので、わしはこの方法ではしません。








接種はヒラタケ同様に行いますが、ヒラタケの接種とは少し違う方法で行っています。

と言うのも、ナメコはヒラタケほどは菌糸の成長に勢いが無いので、種菌を大鋸屑や米ぬか等に混合し増量する場合、ナメコ種菌の濃度割合を高めに調合しています。

その調合し増量した種菌を、ヒラタケ同様に接種します。

これは、今年の早春にコナラ原木に接種したナメコの菌が増殖&活着した状況です。
径15p以上の太さの原木を15〜25pに刻んだもの二個セットの間にオガクズ種菌を挟んで培養したものです。

ここまで来るまでには様々な困難があります。
アリに種菌を外へ運ばれたり、ハサミムシに巣を建設されたり、ナメクジハウスになっていて種菌が全くない状態だったり・・・・・ 。

とにかく、ナメコは昆虫等の小さな生き物にとっても「ご馳走」らしいです。





ヒラタケ同様に伏せ込みますが、ヒラタケよりも菌糸が原木内に侵入していく速度が遅いので、本伏せが遅れることも多々あります…。
寒いうちに植菌をして、暖かくなる前に出来るだけ菌を蔓延させたいものです。

短木断面接種栽培の仮伏せ完了の目安として、接種面の反対側に菌糸が出て来たのを目安にするのも良いです。

7月になって菌糸が蔓延したら2個セットになっている原木を剥がして、土中にその場所の乾燥具合を考慮して埋め込みます。










場合によっては板で囲って地面より一段高くして埋設したりします。
埋設が終わったら、ホダ木とホダ木の間に良く土が入る様に水で〆ながら埋めて行きます。

ナメコは意外と栽培が難しいキノコで、乾燥していると発生しませんし、だからと言って土中埋設をするとカブトムシやクワガタムシの幼虫の被害を受けるし……兎に角、わしの栽培する環境では栽培が難しいキノコですね。

この様な事から、わしのホダ場の環境に合う種菌を探すべく、今まで色々な種のナメコ種菌を試してみました。








秋も深まるとポツポツとナメコが顔を出し始めますが、本場である深山より一ヶ月以上も発生が遅れるんです。
しかも、やっと発生を開始したと思ったら、冬の乾燥時期がやってきます。

面白いのは、ナメコは深山では紅葉の時期に発生すると言われますが、こちらでも紅葉の時期に一致して発生したりする事です。

わしの場合、一年間の中で長期に渡って好物のナメコを食べたいので、早生系と晩秋発生〜初冬発生の3品種を接種しています。11月初旬〜3月下旬まで発生を楽しむことが出来ます。






                              『大ナメコの誘惑』






一般にキノコは、傘が開ききったものは既に大味になってしまっていたりします。ヒラタケなども、気温が高いと一日にして「ワラジ」のようなブツと化していたりしますが、そうなるともう、大味ですね…。天然キノコになると、虫が入って朽ちる寸前だったりします。











しかしこのナメコと言うヤツは…!
こんなに巨大化しても、味は濃厚、風味も有って、香りも格別!












因みにわしは、こんな巨大なナメコでさえ、切らずに丸ごと味噌汁に入れたい派です。
ナメコの「ヌル」が堪らず好きなのですが、洗っても洗ってもあのヌルヌルが出るのは、不思議ですね〜!

毎日食べても飽きないと、ここで宣言します!